お赤飯の歴史

 お赤飯を調べてみると、その昔は小豆やささげを入れたご飯ではなく、赤米を蒸したものだったようです。赤米とは、縄文時代に初めて中国大陸から日本に伝わってきたお米(インディカ種)で、炊きあがるとちょうどお赤飯のような色をしています。日本では古くから赤い色には邪気を祓う力があると考えられており、加えてお米が高級な食べ物であったことから、神様に赤米を炊いて供える風習があったようです。
 庶民の多くは赤米を江戸時代になる前頃まで食べていましたが、稲作技術の発展による品種改良で、味が良く収量が安定する現在のお米(ジャポニカ種)に変わってきました。しかし、赤い色のご飯を供える風習は根強く残っていたので、江戸時代中期の頃、代用品として白いお米を小豆で色づけしたものがお赤飯(あるいは小豆飯)として広まったと考えられます。また、江戸病とも言われたビタミンB1の不足による脚気を予防するために、お赤飯や小豆飯を頻繁に食したようです。このように、当時から庶民の間に健康に良いとされていたこともお赤飯が広まり現代まで残った理由の一つと考えられます。
 余談ですが、江戸後期の井原西鶴「好色一代女」の中にも「大重箱に南天を敷き、赤飯山のやうに詰めて…」とあり、当時からお赤飯と南天はセットだったようです。

お赤飯のまめ知識

赤い色は魔除けの色

Q.なぜ、お赤飯をお祝の席で食べるようになったの?

その赤い色に秘密があるのです。
昔は赤という色には呪力があって、災いを避ける力があると信じられていました。魔除けの意味を込めて、祝いの席でふるまわれるようになったのです。

いつ頃から?

Q.いつごろから食べられるようになったの?

ルーツは古く平安中期の「枕草子」にあずき粥としてお赤飯の原形が書かれています。祝儀用となったのは室町時代で、江戸時代後期には一般庶民のハレの日の食卓にまで広まったのです。

どういう時に?

Q.どういう時に食べられていたの?

鎌倉時代後期の宮中の献立を記した「厨事類記」には、3月3日上巳の節供、5月5日端午の節供、9月9日重陽の節供など、季節の節目に食べた行事食だという記録があります。
民間で食べられるようになってからは、身近な祝い事の行事に食べられるようになったようです。地方によっては仏事にお赤飯を食べて凶を返して福とする縁起直しをするところもあるようです。

◆お赤飯にかかわる行事

 ・帯祝い

 ・出産祝い ・誕生祝い ・初節句

 ・お食い初め

生後100日目か120日目を迎えると行います。
お食い初めの献立はお赤飯、鯛などの尾頭付きの焼き魚、煮物、なます、汁などの一汁三菜が基本です。

 ・七五三

男児は3歳と5歳、女児は3歳と7歳に11月15日を吉例としてお祝します。昔は男女とも3歳になるとはじめて髪を伸ばすので「髪置祝」と言ったそうです。

 ・入学・卒業祝い ・就職祝い ・成人祝い

 ・上棟式賀の祝い ・還暦祝い(60歳)

 ・古稀祝い(70歳) ・喜寿祝い(77歳)

 ・米寿祝い(88歳) ・白寿祝い(99歳)など


南天の葉

Q.お赤飯に南天の葉を飾る意味はあるの?

“難(ナン)を転(テン)じる”という語呂合わせから、ナンテンは縁起の良い木と言われています。

南天の葉は防腐作用があるとされ、縁起や厄除けの意味合いの他に、安心・安全に対して先人の経験と知恵によって習慣化されたと考えられています。

赤い色に秘められた”あずきパワー

Q.お赤飯の赤い色はあずきの色なの?

あずきを煮ると、煮汁が赤く色づきます。
その煮汁をもち米に吸収させて蒸すので、お米があずき色に染まるのです。
実はこの煮汁の中には、あずきのポリフェノールなど、体に嬉しい成分も含まれています。
その煮汁をもち米にしっかりと吸収させるお赤飯は、あずきの栄養分をあますところなくいただくことができる食べ方なのです。

お赤飯の作り方

Q.昔ながらの作り方はどんな方法?

材料はもち米3カップとあずき1/2カップ(4人分)

1. あずきはよく洗い3~4倍の水を加えて沸騰したら2~3分静かに煮立て、ゆでこぼします。
2. 5~6倍の水を加えて沸騰したら弱火で15~20分煮ます。
3. ゆでたあずきと煮汁に分けます。あずきは乾燥しないように鍋蓋かラップをしておきます。
4. 研いで水切りしたもち米をあずきの煮汁に3時間つけます。
5. もち米をざるにあけてあずきと混ぜ合わせます。残った煮汁に塩を少々入れます。
6. あずきと混ぜ合わせたもち米をせいろまたは蒸し器で15~20分蒸します。
7. 煮汁を打ち水としてかけ、へらで底の方からさっくりと混ぜます。
8. さらに15~20分蒸して完成です。

全国お赤飯MAP


お赤飯MAP

お赤飯カレンダー

今日は何の日?お赤飯を食べよう

●1月 1日 一年の始まりに
●1月 成人の日 成人のお祝いに
●2月 3日 節分の厄除けに
●3月 3日 桃の節句のお祝いに
●お彼岸 お供えに
●5月 5日 端午の節句のお祝いに
●母の日 お母さんに感謝を込めて
●6月 父の日 お父さんに感謝を込めて
●8月 お盆 ご先祖の供養に
●9月 敬老の日 おじいちゃん、おばあちゃんの長寿のお祝いに
●お彼岸 お供えに
●11月 七五三 子供たちの健やかな成長に祈りを込めて
●23日 お赤飯の日
●12月 31日 一年間の労を労い

国民の休日、家族のお祝いや自分だけの特別な日にお赤飯を食べよう!

人生の節目にお赤飯

●帯祝
●誕生、出産祝い
●お食い初め
●節句
●七五三
●入園・入学式
●卒園・卒業式
●成人祝い
●就職祝い
●結婚式
●上棟式賀の祝い
●新築祝い
●開店・改装祝い
●還暦祝い
●古希祝い
●喜寿祝い
●米寿祝い
●白寿祝い

11月23日『お赤飯の日』

11月23日『お赤飯の日』制定の由来

 古来より日本人の慶びの食事に、ハレの日の食卓に欠かせなかったお赤飯の歴史と伝統の継承を目的として、勤労感謝の日の11月23日(※1)を感謝の気持ちを込めて「お赤飯の日」と制定しました。お赤飯を通して日本の食文化とは何かを考えるきっかけとなれば幸いです。

(※1)古くは皇極天皇の時代より11月23日(新嘗祭)にお赤飯の起源といわれる赤米等の五穀を、その年の収穫に感謝をこめて奉納してきました。現代においても全国各地で11月23日に五穀を奉る伝統が継承されています。